洋傘が日本に伝わったのは明治時代。当初は材料を輸入し組み立てを行っていました。その後すべての材料を作り加工を行えるようになり完成までを国内で行えるようになりました。
通常、傘は、生地・傘骨・手元の3個の部品から成ります。下図のように傘骨は部品数も多く製造に非常に手間がかかり技術を要する部品です。また傘骨は傘の機能面で最も重要な部品です。
ご挨拶でも少し触れさせていただきましたが、現在日本の傘骨製造の現状は傘製造全体の1%にも満たないほどになっています。海外製の製品に比べ価格が高いことにより使用されなくなったことと、職人の高齢化によりうまく部品の調達が出来なくなった事が原因です。そのような現状のなかですが『傘骨屋』では各職人さんに協力していただき全ての部品の製造から組み立てまでを一貫して日本で行っております。
昔から傘骨の製造は分業にて行われてきました。
各職人さん一人一人が伝統的な技術に誇りを持ちこだわりを持って1本1本思いを込めて傘骨を作り上げてきました。
現在日本では1つの部品に対し一人の職人さんが残っている程度となり、日本での傘骨作りは非常に難しくなっています。日本の傘の製造技術は世界1です。しかしこのままでは純国産の傘を手にすることは出来なくなってしまいます。
傘骨屋では多くのお客様に日本の傘の技術の高さを知っていただき傘作りの伝統技術を継承していけるよう努めていきます。
普段傘を使用していて気付く事はないと思いますが、写真のように傘の親骨の先端を1本1本少しだけくせづけし曲げてやります。現在多くの傘に使用されているカーボン骨などにそのような加工はなく和傘のような直線的な仕上がりになります。
曲げの加工をする事により生地を張り傘を開いた時に味わいのある洋傘特有の美しい曲線を描く事が可能になります。
傘を開いた際に写真のように下ロクロと上ハジキに隙間が生まれます。
あり合わせの部品を組み上げるだけですとこの隙間が大きくなってしまう事が多く指を挟まれる1つの原因となり、現在多くのロクロには指挟まれ防止のカバーが取り付けられています。
しかしこの隙間を5ミリ以内になるよう部品の位置を調整をすることにより指の挟まりを防ぐことができ、指挟まれ防止のカバーの取り付けなどが不要となります。
傘の開閉のスムーズさは傘にとって非常に重要です。写真のようにロクロのすり割と呼ばれます。
隙間の部分と骨の天地加工という穴をあけ平らにプレスした個所の接続部が狭くなりすぎ競らないように、そして隙間が大きくなりすぎてガタがでないよう1本1本微妙な調整を行って骨の組み立てを行っています。
傘骨屋では様々な種類の傘骨を作成しています。
完全受注生産となりますので、材質・形状・色・長さなどお客様の要望に応えながら1本1本丁寧に制作を行います。
また今まで傘に使用していなかった材料などを使用し新たな傘骨作りにもチャレンジしています。
傘骨屋ではその他にも、愛犬用傘の小さな傘の骨、ホテルなどで使用します大きなパラソルの骨、簡易プラネタリウム用の骨、カメラ撮影に使用する特殊な傘の骨の製造も行っています。